リスティング広告の費用の仕組み

リスティング広告はクリック課金型(CPC: Cost Per Click)の広告です。ユーザーが検索し、広告をクリックして初めて費用が発生します。表示されるだけならコストはゼロ。この仕組みが「運用次第で費用対効果を大きく変えられる」と言われる理由です。

費用を決める3つの変数

  • クリック単価(CPC) — キーワードの競合度合いで変動する入札制
  • 日予算 — 広告主が上限を設定。月額換算で管理するのが一般的
  • 品質スコア — 広告文とLPの品質が高いほど、低いCPCで上位に出る

ここで押さえておきたい視点があります。リスティング広告の費用を考えるとき、「いくら使うか」から入る企業が多い。しかし重要なのは「いくら投資して、いくらのリターンを得るか」です。

月額50万円でも赤字なら意味がなく、月額200万円でもROAS 500%なら事業の成長エンジンになります。

費用相場の目安【規模別・業界別】

リスティング広告の費用は業種・商材・LTV(顧客生涯価値)で大きく変わります。「相場」を鵜呑みにするのではなく、自社の利益構造と照らし合わせてください。

月額予算の目安(規模別)

企業規模 月額予算 特徴
スタートアップ 5〜20万円 勝てるキーワードを絞って集中投下
中小企業(50名以下) 20〜100万円 主力商材を中心にキーワードを拡張
中堅〜大企業 100〜500万円+ ブランドKW含め複数商材を網羅

クリック単価の目安(業界別)

業界 CPC相場 1CV あたりの売上目安
BtoB(SaaS・コンサル) 300〜2,000円 数十万〜数千万円
不動産・金融 500〜3,000円 数百万〜数千万円
EC・小売 30〜200円 数千〜数万円
美容・健康 100〜500円 数万〜数十万円
教育・スクール 200〜800円 数十万円

よくある誤解: CPCが高い = 費用対効果が悪い?

BtoB商材のように1件の成約で数百万円のリターンがある場合、CPC 2,000円でもCPA 3万円で着地すればROAS 1,000%以上です。CPCの絶対値ではなく、CPA対LTVの比率で判断してください。

予算の決め方 — 3つのアプローチ

「いくらから始めればいい?」——リスティング広告でもっとも多い相談です。予算設定には3つのアプローチがあり、フェーズによって使い分けます。

アプローチ 1: 目標CPA逆算型

もっとも合理的な方法。稟議が通りやすいのもこの型です。

ステップ
1. 許容CPAを決める 問い合わせ1件あたり 3万円 まで
2. 月間目標件数を決める 10件 の問い合わせ
3. 月額予算を算出 3万円 × 10件 = 月額30万円

なぜこの型が強いのか

「月30万円ください」ではなく「CPA 3万円 × 10件 = 30万円」と説明できる。根拠がある予算は社内承認のスピードがまったく違います。

アプローチ 2: テスト予算型

データがない初期段階では、月10〜30万円 × 3ヶ月を「テスト投資」として確保します。

  • 1〜2ヶ月目: データ収集。キーワードと広告文の最適化
  • 3ヶ月目: 実績データに基づいて本格予算を判断

このフェーズでの費用は「コスト」ではなく「学習投資」です。ここで止めると投資が回収できないまま終わります。

アプローチ 3: 売上比率型

売上の 5〜10% を広告費に充てるシンプルな考え方です。ただしこれだけでは「攻め」の投資判断ができません。アプローチ1・2と組み合わせて使うのが現実的です。

費用対効果を高める5つの実行ポイント

予算を確保した後の勝負は「限られた予算でいかに成果を最大化するか」です。

1. 除外キーワードを毎週レビューする

検索語句レポートを週1回以上確認し、意図しないクリックを潰します。

よくある除外候補 理由
「無料」「フリー」 有料サービスの見込み客ではない
「求人」「採用」 検索意図が異なる
「とは」「意味」 情報収集段階でCV距離が遠い

除外KWの整理だけでCPAが20〜30%改善するケースは珍しくありません。

2. ランディングページの質を上げる

広告の「その先」が弱いと、いくらクリックを集めても成果になりません。チェックすべきは3点。

  • ファーストビュー: 3秒で「何のページか」が伝わるか
  • フォーム: 入力項目は最小限か(名前・メール・電話で十分なケースが多い)
  • 表示速度: モバイルで3秒以内に表示されるか

3. コンバージョン計測を正確にする

計測できなければ改善できない。 当たり前ですが、ここが曖昧な企業は多い。

  • フォーム送信だけでなく電話問い合わせもトラッキング対象にする
  • Google広告のコンバージョンタグが正しく発火しているか初期段階で検証する
  • オフラインCV(来店・商談成約)まで追えると、広告の本当の価値が見える

4. 入札戦略をフェーズで切り替える

フェーズ 蓄積CV数 推奨入札戦略
データ蓄積期 0〜30件 手動CPC or 拡張CPC
安定期 30件〜 目標CPA入札
拡大期 100件〜 目標ROAS入札

自動入札は万能ではありません。「なぜこの入札戦略なのか」を説明できる状態を常に保つこと。

5. アカウント構造をシンプルに保つ

キャンペーンを細分化しすぎると、機械学習に必要なデータが分散します。原則は1広告グループ = 1テーマ。不要な分割は避けましょう。

よくある失敗パターンと回避策

リスティング広告で成果が出ない企業には共通のパターンがあります。

失敗 1: 「設定して放置」

初期設定だけして、週次の確認すらしないケース。リスティング広告は「運用し続ける」ことで成果が出る広告です。放置した広告アカウントは、穴の空いたバケツに水を注いでいるのと同じです。

失敗 2: CPCの安さを追求して本末転倒

クリック単価を下げることに注力した結果、成約率の低いキーワードばかりに予算が流れるパターンです。

見るべき指標の優先順位

CPC(クリック単価)ではなく、CPA(獲得単価)→ ROAS(広告費用対効果)→ LTV の順で判断する。CPCは手段であり、目的ではありません。

失敗 3: 1ヶ月で「効果なし」と撤退

リスティング広告は最低2〜3ヶ月のデータ蓄積が必要です。1ヶ月目はテスト費用。ここで止めると学習データもリターンも得られません。

失敗 4: 代理店に丸投げでナレッジが残らない

月次レポートを受け取るだけの関係では、自社に知見が蓄積されません。代理店との関係で確認すべきは以下の3点。

  • 検索語句レポートを共有してくれるか
  • 変更履歴を透明に開示しているか
  • 「なぜその施策をしたか」の判断根拠を説明できるか

まとめ: 予算は「額」ではなく「構造」で決める

リスティング広告の費用は業界・商材・運用体制で変わります。しかし、成果を出す企業には共通する考え方があります。


やるべきこと 考え方
予算設計 目標CPAから逆算する。「月額○万円」ではなく「CPA × 件数」で決める
テスト投資 最初の3ヶ月はデータへの投資。1ヶ月で判断しない
運用体制 属人化させず、仕組みとして改善サイクルを回す

リスティング広告は「正しく運用すれば再現性の高い成果が出る」数少ないマーケティング手法です。重要なのは、費用の「額」ではなく「構造」を設計すること。

くるみでは、広告運用の戦略設計から実行・改善まで一気通貫で伴走しています。「まず自社の適正予算を知りたい」「今の運用体制を見直したい」という方は、お気軽にご相談ください。