AI補助金は個人事業主も申請できる?結論と申請条件
個人事業主・フリーランスも、デジタル化・AI導入補助金を申請できます。法人でなくても、国内で事業を営み、確定申告を済ませていれば対象に入ります(2026年9月時点)。AIツールや業務ソフトの導入費を抑えたい個人事業主の方が、申請するかどうかを決めるための材料を順に整理します。
「デジタル化・AI導入補助金2026」とは:旧IT導入補助金の後継
「AI補助金」と検索して探している制度の多くは、「デジタル化・AI導入補助金2026」を指しています。これは2025年まで「IT導入補助金」と呼ばれていた制度の後継です。公式サイトも「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」と併記しています(デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト)。
「it導入補助金 個人事業主」で調べていた方も、別の制度を探し直す必要はありません。ITツール(業務に使うソフトウェアやクラウドサービス)の導入費の一部を国が補助する、という骨格は同じです。制度全体の枠組みは親記事にまとめます。詳しくはデジタル化・AI導入補助金の全体像
個人事業主の申請条件は5つ(チェック項目)
個人事業主の申請条件は、「国内で事業」「確定申告済み」「GビズID」「セキュリティ宣言」「支援事業者と申請」の5つに整理できます。どれか1つでも欠けると申請画面まで進めないため、先に全体を確認しておくと手戻りが減ります。

- 国内で事業:日本国内で事業を営む個人事業主が対象になります。業種ごとの対象範囲は公募要領に記載があります。
- 確定申告済み:直近分の確定申告を済ませ、申告書の控えと納税証明書を提出できる状態を指します。
- GビズID:行政サービス共通の認証アカウントです。申請には上位の「GビズIDプライム」が必要です。
- セキュリティ宣言:IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」で、情報セキュリティ対策に取り組むと自己宣言することです。
- 支援事業者と申請:事務局に登録されたIT導入支援事業者(ツールの販売と申請支援を担う事業者)と共同で申請します。単独では申請できません。
いずれも2026年9月時点の整理です。申請の回ごとに公募要領が更新されることがあるので、申請前に公式サイトの最新版で照合してください。
開業1年未満は申請が難しい(注意点)
開業したばかりの個人事業主は、現実には申請が難しい状況です。必要書類に確定申告書の控えと所得税の納税証明書が含まれ、一度も確定申告をしていない段階では提出できないためです(2026年9月時点)。
最初の確定申告を終えると、この条件は満たせます。詳しい扱いは、後半の注意点の節で改めて取り上げます。
個人事業主が使いやすい申請枠の比較と補助率・補助額
個人事業主が検討しやすい枠は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の3つです。このほかに複数の事業者が連携して申請する枠もありますが、商店街や団体単位の取り組みが前提なので、一人で申請する場面ではまず候補に入りません(2026年9月時点)。
3つの枠の違いは「何を導入するか」で分かれる
3つの枠は、対象・PC購入・向く人の3点で見比べると違いがはっきりします。対象は「業務ソフト全般」「セキュリティ」「会計・受発注・決済」、PC購入は「対象外」「対象外」「条件付きで可」、向く人は「AIで業務効率化」「対策を強化」「インボイス対応」です。

- 対象:その枠で申請できるツールの範囲です。通常枠は業務ソフト全般、セキュリティ対策推進枠はセキュリティ、インボイス枠(インボイス対応類型)は会計・受発注・決済のソフトに限られます。
- PC購入:パソコンなどのハードウェアを一緒に申請できるかどうかです。通常枠とセキュリティ対策推進枠は対象外で、インボイス枠だけが条件付きで可となります。
- 向く人:AIで業務効率化を進めたい人は通常枠、対策を強化したい人はセキュリティ対策推進枠、インボイス対応を整えたい人はインボイス枠が出発点になります。
補助率・補助額は公募要領の数字で確認する(費用の見方)
補助率と補助額は、枠ごと・事業者の規模ごとに細かく分かれています。年度の途中で見直されることもあるため、ここでは数字を転記せず、確認する場所を表にまとめます(2026年9月時点)。
| 申請枠 | 対象 | PC購入 | 向く人 | 補助率・補助額の確認先 |
|---|---|---|---|---|
| 通常枠 | 業務ソフト全般 | 対象外 | AIで業務効率化 | 公募要領(通常枠) |
| セキュリティ対策推進枠 | セキュリティ | 対象外 | 対策を強化 | 公募要領(セキュリティ対策推進枠) |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 会計・受発注・決済 | 条件付きで可 | インボイス対応 | 公募要領(インボイス枠) |
検索上位の記事には補助率の数字が並んでいますが、更新日によって内容が食い違うことがあります。申請額を見積もるときは、公式サイトに掲載された最新の公募要領の数字を使ってください。
補助率より先に、導入したいツールが対象かをチェックする
枠を選ぶときは、補助率の高さより先に、導入したいツールがその枠の対象かどうかを確認します。対象であることは申請の必須条件で、補助率は条件を満たした後に差が付く部分だからです。
補助率が高い枠を先に決めてしまうと、使いたいAIツールがその枠に登録されておらず、選び直しになることがあります。ツールの対象を確認し、その次に枠、最後に補助率という順序で見ると、判断がぶれません。
通常枠の労働生産性要件と、2回目以降の賃金要件(基準)
通常枠では、導入後に労働生産性(働いた量に対して生んだ付加価値の割合)を伸ばす計画の提出が求められます。目標の水準と計算方法は公募要領に定めがあります(2026年9月時点)。
過去にこの補助金の交付を受けた事業者が再び申請する場合は、賃金に関する要件が加わります。旧IT導入補助金を使ったことがある方は、公募要領の該当箇所を先に読んでおくと安心です。締切は回ごとに変わるため、兄弟記事「AI補助金の日程」と公式の事業スケジュールを参照してください。
AIツールやパソコンは補助対象になる?対象・対象外の違い
補助対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。AIツールであっても、登録のないものを自分で契約した場合は対象になりません。購入も、そのツールを登録したIT導入支援事業者を経由する必要があります(2026年9月時点)。
対象・対象外を枠ごとに比較する
通常枠とインボイス枠の順に可否を並べると、登録AIツールは○と△、会計・決済ソフトは○と◎です。パソコン単体は×と×、ソフトとPCは×と○、HP制作は×と×になります。

- 登録AIツール:通常枠では対象です。インボイス枠は、そのツールが会計・受発注・決済の機能区分で登録されている場合に限られるため△としています。
- 会計・決済ソフト:通常枠でも対象になりますが、インボイス枠が本来想定している中心のツールです。
- パソコン単体:どの枠でも対象外です。パソコンだけを買う目的では使えません。
- ソフトとPC:インボイス枠で、対象ソフトと一緒に導入する場合に限り、条件付きで対象になりえます。
- HP制作:ホームページの制作は、どちらの枠でも対象外です。
支援事業者に最初に送る確認文は、次の2行で足ります。
導入したいツール名と、公式のITツール検索での登録の有無。 使いたい枠(通常枠/セキュリティ対策推進枠/インボイス枠)と、その枠で対象になるか。
登録の有無は公式のITツール検索でチェックする
導入したいツールが登録されているかは、公式サイトのITツール検索で調べられます。ツール名や支援事業者名から検索でき、AI機能の有無で絞り込むこともできます(2026年9月時点)。
同じ製品でも、プランや販売する支援事業者によって登録の有無が変わることがあります。検索結果に出たツール名と、実際に契約するプランが一致しているかを、支援事業者に確認しておくと確実です。
AIを入れる業務の選び方:「定型で繰り返す側」から
私たち株式会社くるみは、AIの弱点を「待てば解決する側」と「待っても解決しない側」の2つに分けて業務を見ています。自分の判断や顧客との関係が要る仕事は後者にあたり、ツールを入れても成果を説明しにくい傾向があります。
補助金でAIツールを入れるなら、請求書の作成や問い合わせの一次対応など、定型で繰り返す業務から選ぶほうが、導入後の効果報告でも説明しやすいと考えています。業務の選び方は、AI導入のハブ記事にある「AIに置き換えられる業務の判定5項目」で確認できます。詳しくはAI導入の進め方
なお、ツールの使い方を学ぶ研修費用には別の制度が用意されています。兄弟記事「AI研修の補助金」で扱います。
個人事業主の申請の流れと必要書類
申請は、事前準備から実績報告までの5工程で進みます。工程は「事前準備:GビズIDと宣言」「ツール選定:支援事業者と決定」「交付申請:書類を添えて申請」「発注・支払い:交付決定の後に」「実績報告:報告後に入金」の順です(2026年9月時点)。

- 事前準備:GビズIDプライムを取得し、SECURITY ACTIONの宣言を済ませます。
- ツール選定:IT導入支援事業者と相談し、導入するITツールと申請枠を決めます。
- 交付申請:支援事業者から申請マイページへの招待を受け、書類を添えて申請します。
- 発注・支払い:交付決定の通知を受けた後に、契約・発注・支払いを行います。
- 実績報告:導入と支払いの証憑を提出し、確定検査を経て補助金が入金されます。
事前準備の手順:GビズIDプライムの取得から逆算する
最初に手を付けるのは、GビズIDプライムの取得です。発行までに日数がかかるため、申請したい回の締切から逆算して早めに動きます(GビズID)。
SECURITY ACTIONは、2026年4月から新しい管理システムでの申込に変わりました。利用にはGビズIDプライムまたはメンバーのアカウントが必須と案内されています(SECURITY ACTION)。つまり、GビズIDを取得してから宣言する、という順番になります。
個人事業主の必要書類チェックリスト
個人事業主が交付申請で添付する書類は、公募要領で次のように示されています(2026年9月時点)。
- 本人確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、住民票のいずれか)
- 所得税の納税証明書(税務署の窓口またはe-Taxで取得)
- 確定申告書の控え(直近分)
書類ごとに、有効期限や発行日の条件、受付印や受信通知の扱いが細かく決まっています。不備があると差し戻しになるため、取得前に公募要領の該当ページで条件を確かめてください。
交付申請から入金までの流れと、その後の効果報告
交付申請は、支援事業者と共同で申請マイページに入力して提出します。事業計画の数値や導入ツールの情報は支援事業者側の入力と組み合わさるため、やり取りの時間も見込んでおきます。
入金で手続きが終わるわけではありません。補助金の交付後も、定められた期間は事業実施効果報告(導入後の生産性などの報告)が続きます。締切の日付は回ごとに変わるので本文には書かず、兄弟記事「AI補助金の日程」と公式サイトの事業スケジュールで確認してください。
申請時の注意点と、支援事業者との進め方・費用
つまずきやすい点は5つで、業務選びだけは本人の仕事です。制度の決まりに起因するものが大半なので、事前に知っておけば避けられます。費用は、申請手数料ではなく自己負担分とサポート費用の有無で考えます(2026年9月時点)。
上位記事に共通する5つの注意点
- 開業1年未満は申請が難しい:確定申告書の控えと納税証明書を出せないためです。最初の確定申告を終えてから検討します。
- 交付決定前に契約・発注・支払いをしない:交付決定より前の契約は補助対象外になります。すでに有料で利用中のツールも、新たな導入にはあたりません。
- 補助金は後払い:いったんツール代の全額を立て替え、実績報告の後に補助額が入金されます。資金繰りに入金までの期間を織り込みます。
- 支払い方法に制限がある:支払いの事実を証憑で確認できる方法に限られます。認められる方法は実績報告の手引きで確認します。
- 実績報告と効果報告が必要:導入後の報告を怠ると、補助金の返還を求められる場合があります。
採択率は回と枠によって変わるため、数字はここでは扱いません。兄弟記事「AI補助金の採択率」でまとめる予定です。
費用は「自己負担分」と「サポート費用の有無」で見る
補助金の申請自体に手数料はかかりません。かかるのは、ツール代のうち補助されない自己負担分と、支援事業者によっては設定されているサポート費用です。
サポート費用の有無や範囲は、支援事業者ごとに異なります。契約前に、何が費用に含まれ、不採択のときはどうなるのかを書面で確認しておくと、後からの行き違いを防げます。
本人とIT導入支援事業者の分担の基準
手続きは、本人と支援の担当を分けて考えると進めやすくなります。業務の棚卸しは本人が主担当で支援事業者は助言、GビズID取得は本人のみで代行不可です。ツール登録は本人が確認で支援事業者が主担当、申請入力は共同と共同、効果報告は本人が主担当で支援事業者が支援に回ります。

- 業務の棚卸し:どの業務にAIを入れるかを決める作業です。事業の中身を知る本人が主担当で、支援事業者は助言にとどまります。
- GビズID取得:本人のみが行える手続きで、代行不可です。
- ツール登録:事務局へのITツール登録は支援事業者が主担当です。本人は、契約予定のツールが登録済みかを確認します。
- 申請入力:申請マイページの入力は共同作業です。本人の入力と支援事業者の入力がそろって提出できます。
- 効果報告:導入後の数値を持っているのは本人なので主担当となり、支援事業者は入力面を支援します。
よく見るパターンは、ツールと枠が先に決まり、どの業務に使うかが後回しになる進め方です。これは申請者の落ち度ではなく、ツールの提案から話が始まる制度の構造によるものです(匿名の自社支援記録で第三者未検証)。
私たちは、ツールを決める前に業務の棚卸しから始め、任せる業務→ツール→申請枠の順で回しています。この進め方は業務へのAI実装の支援でも同じです。
個人事業主のAI補助金に関するよくある質問
個人事業主から多い5つの疑問に、1問1答で答えます。いずれも2026年9月時点の情報で、最終的な判断は公募要領と公式FAQの最新版で照合してください。
個人事業主は法人番号がなくても申請できる?
申請できます。法人番号は法人に付く番号なので、個人事業主には求められません。代わりに、本人確認書類、所得税の納税証明書、確定申告書の控えで事業の実在を示します。GビズIDプライムも個人事業主として取得できます(2026年9月時点)。
開業したばかり(開業1年未満)でも申請できる?
一度も確定申告をしていない段階では、申請は難しい状況です。必要書類の確定申告書の控えと納税証明書を提出できないためです。最初の確定申告を終えれば書類がそろうので、その後の回での申請を検討します(2026年9月時点)。
免税事業者でもインボイス枠に申請できる?
旧IT導入補助金のインボイス枠は、免税事業者も対象に含めていました。デジタル化・AI導入補助金2026での扱いは、申請する回の公募要領(インボイス枠)で確認してください。インボイス登録を予定している場合は、支援事業者にも伝えておくと話が早く進みます(2026年9月時点)。
ChatGPTなどの生成AIの利用料(費用)は補助対象になる?
登録されたITツールかどうかで決まります。生成AIのサービスを自分で直接契約した利用料は対象になりません。生成AIの機能を含むツールが事務局に登録され、IT導入支援事業者を経由して導入する場合に対象となりえます。公式のITツール検索で確認できます(2026年9月時点)。
従業員のいないフリーランス(一人)でも対象?青色事業専従者の扱いは?
従業員がいない一人のフリーランスも、小規模事業者として対象に入ります。青色事業専従者(事業を手伝う家族)を従業員数や賃金の計算にどう含めるかは、枠と要件によって扱いが分かれます。推測せず、公募要領の定義で確認してください(2026年9月時点)。
まとめ:個人事業主は条件確認と業務選びから始める
最初に手を付けるのは、条件の確認とAIを入れる業務選びです。個人事業主もデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を申請でき、枠は補助率からではなく対象ツールから選びます(2026年9月時点)。
5つの条件をもう一度チェックする
申請条件は「国内で事業」「確定申告済み」「GビズID」「セキュリティ宣言」「支援事業者と申請」の5つでした。時間がかかるのはGビズIDで、本人にしか進められない手続きでもあります。

- 国内で事業:日本国内で事業を営んでいること。
- 確定申告済み:確定申告書の控えと納税証明書を出せること。
- GビズID:GビズIDプライムを取得していること。
- セキュリティ宣言:SECURITY ACTIONの自己宣言を済ませていること。
- 支援事業者と申請:IT導入支援事業者と共同で申請すること。
次の一手の手順:GビズIDの取得と業務の洗い出し
次の一手は、GビズIDプライムの取得と、AIを入れる業務の洗い出しを並行して始めることです。IDの発行を待つ間に業務を書き出しておくと、支援事業者との相談でツールと枠を決めやすくなります。
どの業務をAIに置き換えるかが決まっていない段階なら、おきかえくんの無料診断で棚卸しから始める方法もあります。任せる業務が見えてから、ツール、申請枠の順に決めていくと、申請後の効果報告まで一本の筋で説明できます。
AIツールの使い方を学ぶ研修やリスキリングには、別の補助金・助成金があります。兄弟記事「リスキリングの補助金」で扱う予定です。



