ディスプレイ広告の種類は3つの軸で整理する
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に画像・動画・テキストといった形式で表示される広告の総称です。検索結果に表示されるリスティング広告と違い、まだ検索行動を起こしていない人にも届くのが最大の特徴です。
「種類が多すぎて、何をどう選べばいいのか分からない」。ディスプレイ広告の相談で最も多いのが、この入り口の混乱です。
「種類が多い」と感じる理由
原因ははっきりしています。「ディスプレイ広告の種類」という言葉に、性質の異なる3つの軸が混ざっているからです。
- 媒体 — どのネットワークに出すか(GDN、YDA、SNS、Amazonなど)
- フォーマット — どんな形式で出すか(バナー、レスポンシブ、動画、ネイティブ)
- ターゲティング — 誰に・どこに出すか(オーディエンス、コンテンツ、リターゲティング。Google広告では「リマーケティング」とも呼ばれます)
3つは掛け算の関係にあります。「GDN × レスポンシブ × リターゲティング」のように組み合わせて、初めて1つの配信が成立します。この構造さえ押さえれば、種類の暗記ではなく「自社の目的に合う組み合わせを選ぶ」という本来の判断に進めます。
本記事では軸ごとの種類を順に整理し、AI最適化が前提になった現在の選び方まで扱います。ディスプレイ広告そのものの仕組みから確認したい方は、先にディスプレイ広告とは?仕組み・種類・費用を徹底解説をどうぞ。
媒体別の種類:GDN・YDA・SNS・Amazonの違い
媒体の軸は「どこに表示されるか」の違いです。同じバナーでも、配信面が変われば届く相手が変わります。
| 媒体 | 主な配信面 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| GDN(Google) | 提携ウェブサイト・アプリ、Gmail、YouTube | 幅広いリーチ、リターゲティング |
| YDA(LINEヤフー) | Yahoo! JAPANトップページ、Yahoo!ニュースなど | 国内ポータル利用層への到達 |
| SNS系ネットワーク | MetaのAudience Network、LINE広告ネットワークなど | SNSアプリ外への拡張配信 |
| Amazon広告 | Amazonサイト内外 | 購買データを起点にしたEC向け配信 |
| DSP・純広告 | 媒体社の広告枠 | 特定媒体の面指定、大規模なブランディング |
GDN(Googleディスプレイネットワーク)
GDNは、Googleと提携する多数のウェブサイトやアプリに加え、GmailやYouTubeといったGoogle自身のサービス面にも配信できるネットワークです。配信面の広さと機械学習ベースの配信最適化が強みで、多くの企業にとって最初の候補になります。対応する配信面や入稿要件の最新情報はGoogle広告ヘルプで確認できます。キャンペーン設定の手順はGDNの特徴・設定・最適化ガイドにまとめました。
YDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)
YDAは、Yahoo! JAPANのトップページやYahoo!ニュースなど、国内利用者の多いサービス面に配信できる広告です。GDNと利用者層が完全には重ならないため、併用してリーチを補完する使い方が定番です。広告メニューの全体像はLINEヤフー for Businessが一次情報になります。媒体としての特徴はYahoo!ディスプレイ広告の解説でも扱っています。
EC事業者ならAmazon広告も候補
Amazonで商品を販売しているなら、スポンサーディスプレイ広告も検討対象です。Amazonの購買シグナルを起点に、Amazonサイトの内外へ配信できます。使いどころはAmazon スポンサーディスプレイ広告の解説で詳しく説明しています。

フォーマット別の種類:レスポンシブ・バナー・動画・ネイティブ
フォーマットの軸は「どんな見た目で表示されるか」です。かつてはサイズ別のバナー画像を大量に用意するのが主流でしたが、いまは事情が変わりました。
事実上の標準になったレスポンシブディスプレイ広告
レスポンシブディスプレイ広告は、画像・ロゴ・見出し・説明文といった素材(アセット)を登録すると、配信面に合わせてシステムが組み合わせを自動生成する形式です。1回の入稿で多様なサイズの広告枠に対応でき、成果の出やすい組み合わせが機械学習で優先されます。これから始めるなら、まず用意すべきはこの形式です。
固定サイズのバナーが残る場面
では手動バナーはもう不要かというと、そうではありません。デザインを完全に統制したいブランディング案件や、特定の広告枠を指定して掲載したい場合には、固定サイズの入稿が今も使われます。国内でよく使われるサイズには、レクタングル(300×250)、ラージレクタングル(336×280)、ビッグバナー(728×90)、スマートフォン向けの320×50などがあります。どのサイズから揃えるかはバナーサイズの解説記事を参考にしてください。
動画・ネイティブという選択肢
動画はディスプレイ面でも配信機会が広がっており、静止画より多くの情報を伝えられます。ネイティブ広告は、記事一覧などコンテンツに溶け込む体裁で表示される形式で、定義や広告表記のルールは日本インタラクティブ広告協会(JIAA)がガイドラインを公開しています。制作の順序としては、静止画のレスポンシブで反応の取れた訴求を動画化していく流れが、予算効率の面で堅実です。

ターゲティングの種類:誰に・どの面に配信するか
3つ目の軸がターゲティングです。同じ媒体・同じクリエイティブでも、この設定によって届く相手と成果は大きく変わります。
人ベース:オーディエンスターゲティング
興味関心・購買意向・年齢や地域など、ユーザー側の条件で配信対象を決める方法です。検索行動がまだ発生していない潜在層に届くため、新規顧客との接点づくりに向いています。
面ベース:コンテンツターゲティング
キーワード・トピック・特定URLの指定によって「どんな内容のページに出すか」で絞る方法です。商材と文脈が近い面に配信できるうえ、Cookieに依存しにくい点でも近年見直されています。設定の考え方はディスプレイ広告のターゲティング解説に整理しました。
再訪を促すリターゲティング
一度サイトを訪れた人に再度配信する手法で、比較検討中のユーザーを呼び戻す役割を担います。仕組みと設定手順はリターゲティング広告の解説で扱っています。
注意したいのは規制環境です。個人情報保護法の改正や電気通信事業法の外部送信規律など、行動データの取り扱いを巡るルールは年々厳格になっています。最新動向は個人情報保護委員会の公表資料で確認できます。リターゲティング単独に依存せず、オーディエンス拡張やコンテンツターゲティングと組み合わせる設計が現実的です。

AI最適化時代の選び方:勝負所はクリエイティブに移った
ここまで種類を整理してきましたが、実務の視点をひとつ加えます。媒体選定やターゲティング設定の巧拙で差がついた時代は、終わりつつあります。
媒体AIがターゲティングを引き受けるようになった
GoogleのP-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)やデマンドジェネレーションキャンペーン、MetaのAdvantage+のように、配信先の選定を媒体側のAIに委ねる方式が主流になりました。レスポンシブディスプレイ広告も同じ思想の形式です。人が細かく配信面を指定するより、AIに探索させたほうが成果につながる場面が増えています。
では、運用者は何で差をつけるのか。私たちはクリエイティブだと考えています。
媒体AIは自動でユーザーのクラスタを切って配信し、クラスタごとに刺さる訴求は違う。必要なのは似たバナーの量産ではなく、訴求軸・トーン・フォーマットが構造的に異なるクリエイティブ群を揃え、媒体AIに探索の材料を渡すことです。(株式会社くるみ「AIネイティブ広告運用の設計思想」2026年)
種類選びへの引きつけ方
この前提に立つと、ディスプレイ広告の種類選びは「どの媒体が優れているか」の比較ではなく、「AIに渡す材料——クリエイティブとコンバージョンデータ——をどれだけ揃えられるか」という問題に変わります。生成AIを使えば、訴求の異なる静止画や動画を少人数の体制でも量産できます。配信開始後にどこから直すかはディスプレイ広告の改善方法で具体的に解説しています。

ディスプレイ広告の種類に関するよくある質問
最後に、種類選びの相談で繰り返し聞かれる質問に答えます。
まず1つ選ぶならどれですか?
多くの場合、GDNのレスポンシブディスプレイ広告からで問題ありません。配信面が広く、少ない素材で開始でき、後から他媒体へ広げる際にもクリエイティブと学習の知見を流用できるからです。Amazonに出品しているEC事業者であれば、購買に近い面へ配信できるAmazon広告を先に検討する価値があります。
リスティング広告とディスプレイ広告はどちらが先ですか?
「いま探している人」を取りこぼしている段階なら、検索連動型のリスティング広告が先です。検索需要を取り切った後、あるいは指名検索そのものを増やしたい段階になってから、ディスプレイ広告へ広げるのが定石です。両者の違いはリスティング広告とディスプレイ広告の比較で整理しています。
費用はどれくらい必要ですか?
主要媒体の課金方式はクリック課金(CPC)またはインプレッション課金(CPM)で、最低出稿金額の縛りは基本的にありません。ただし、AIの学習に必要なコンバージョンデータが貯まらない予算規模では成果が安定しにくいのも事実です。課金方式ごとの相場観はディスプレイ広告の費用と料金体系で解説しています。
まとめ:種類は暗記せず、軸で選ぶ
ディスプレイ広告の種類は、媒体・フォーマット・ターゲティングの3つの軸で整理すると迷いが減ります。
判断の順序
- 媒体はGDNを起点に、リーチの補完としてYDA、ECならAmazon広告を検討する
- フォーマットはレスポンシブディスプレイ広告を標準とし、明確な目的があるときだけ固定バナーや動画を追加する
- ターゲティングは媒体AIへの委任を前提に、渡すクリエイティブとコンバージョンデータの質で差をつける
種類の知識はスタートラインにすぎません。成果を分けるのは、選んだ組み合わせを検証し続ける実行体制のほうです。
くるみでは、AIを物量と速度のエンジンに、人の目利きを質の担保にして、ディスプレイ広告のクリエイティブ検証から配信設計・改善までを一貫して支援しています。「自社の状況ではどの種類から始めるべきか」を具体的に判断したい方は、お気軽にご相談ください。